福島の山火事騒動から考える、共謀罪と今の日本の風潮との合わせ技での危険性。

間が非常に空いてしまいました。扁桃腺の腫れと一緒の感染症も、もうそろそろ決着が付きそうです。

 共謀罪という法律の審議で、毎日国会が紛糾・ぐちゃぐちゃになっています。何がなんでも通したい与党の自民・公明と維新や法務省などの偉いお役人たちは、大臣なども含めていい加減すぎる答弁や、質問に全く答えないで長々と関係ない話を言って時間を潰し、来週にも30時間ちょっとの「審議」が出来たから、無理やり衆議院本会議を通してしまおうと、虎視眈々と「予定表」をマスコミに出してくる。
 今回はそのことではなく、本日(5/12)に、民進党枝野幸男議員の質問について書かれた、三宅雪子衆院議員のTwitterの記述が、ちょっと引っかかったので、そこから入っていこうと思います。

https://twitter.com/miyake_yukiko35/status/862955173265547266
枝野さんの質問。ネット民にかなり関係することが。
風説の流布』が対象犯罪なので、成立したら(させたくありませんが)、デマ、そしてデマと疑われるものの流布(公衆の伝播)の共謀(ここがよくわからない)はだめになります。とか。
この法案、本当に意味不明です。18日に衆で採決?恐ろしい。

 これ、要は、「国やお役所などが『デマ』だと考えることを広めたり・拡散したりすることは、共謀罪の取り調べや取り締まりの対象にしましょう」ということの一環で書かれてる条文である訳ですよ。

風説の流布 - Wikipedia



風説の流布」だけではなく、デモや騒動を起こすことにつながる可能性のあるすべてが取り締まられる危険。

風説の流布」自体は、例えば株価を操作する場合などに限られていますが、企業の不正行為の内部告発や、不正な取引の告発自体が「風説の流布」と疑われ、ネットの言論なんかを見ても、内部告発の類に対して、いとも簡単に「風説の流布だからやめろ」と言う反応が帰ってくることがかなりあるんですよね。
 そして、その他の共謀罪の対象犯罪を見ていくと、「騒乱罪」「偽計業務妨害」などもあったりするんですよね。要は、国であったり地方自治体であったり大企業であったりに対して、都合の悪い「デマ」が流れた場合に、その情報を拡散したりしたり議論した人たちに対して、いつでも取り調べや処罰が行えるように仕掛けがされている。

共謀罪は民主主義を殺す 組織的業務妨害共謀罪の恐怖: 街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋

 

www.asahi.com

福島第一原発近辺での、山火事のこと。

 6年前に大事故を起こした福島第一原発の近辺の山林で、最近、山火事がありました。山林ですから、当然、除染は不十分で、原発事故で放出された、汚染物質の多くが、降り積もったり吹き込んできたりしたままになっている。そういう所で山火事が起こるというのは、極端に珍しい話ではなく、1986年のチェルノブィリ原発事故の後、周囲数十キロの範囲が基本的に立入禁止になったので、このような山火事が今までに何度も起こっていて、そのうちの何度かの大火事は、火事によって吹き上げられた汚染物質が広い範囲に拡散し、立ち入り禁止区域の外側の都市部でも強い放射能汚染が再び起こる事が懸念される事態にになったりもしていた訳ですよ。
 今回の山火事は結構規模が大きく、実際、鎮火まで一週間以上かかる結果になってますから、山火事の初期から、広範囲に大きな汚染が広がるのではないか。東京などの都市部でも、少なからぬ影響が出るのではないか。と言う、懸念の声が起こった訳ですよ。問題の山林がどの程度汚染物質が溜まってるのかもわかってない状況で、過去にウクライナベラルーシではそれなりに重大な問題になってるのですから、日本で起こる可能性を警告するのは、ある意味理にかなってる。
ところが、この国の、多くの言論人や「科学者」などは、一斉に、この懸念の声や警告を、「デマ」「非科学的」「嘘つき」と叩き出したわけですよ。このような懸念があることを取り上げた紀伊民報紙がバッシングされて記事撤回に追い込まれただけではなく、このような懸念や「非難すべき」と言う言葉に対し、えげつないまでのバッシングが、GWの連休期間中に展開され、一部の新聞すら、そのバッシングに乗っかった。
浪江町の森林火災で放射能汚染拡大を告げるデマ | スラド



 確かに、公と言うか国が設置させたモニタリングポストの数値は上がらないでいましたが、5月6日前後から、山火事近辺で人が住んでいる場所での放射線や空気中の放射能の測定をしている場所での汚染数値が急激に上がった訳です。
https://mainichi.jp/articles/20170510/ddl/k07/040/020000c


 バッシングをした人達は、この誤りを認めないどころか、色々な言い訳を連ねて、開き直り、事実を認めようとしていない。

国が「デマ」だと言えば、事実でも共謀罪の対象にされる危険。

 さて、脈略もなしにこの話を取り上げたのではなく、これが、共謀罪に当てはめたらどうなるか。と言う事を考える必要があるのではないかと思ったのです。
 共謀罪では、色々な形で政府などが認めない物事を広めることに対して、いつでも捜査や取り締まりが出来るようになっているわけですよ。例えば、放射能汚染や原子炉の爆発があったから逃げないとダメだとか、汚染の責任を取らせるためにデモをしよう。となって、それを警察などが認めなければ、刑法などに違反してる・風説の流布だ・騒乱目的で流言飛語を流した。などとして、調査したり、警察に連行したり出来るように、今までの政府やお役人の答弁を踏まえても、そういう風なよちがガバガバなくらいにある。

 そうなると、山火事で汚染されたものがばらまかれるから避難しろとか換気を気をつけろなんて書くことも、共謀罪の対象にされてしまう。原子炉が爆発したとか、原子炉が臨界暴走してると、諸々のデータから解析し、避難や自衛を求めても、国などが「デマだ」と言い張れば、規制や逮捕の対象になる。

 関わったみんなが、議論したみんなが、逮捕や取調べされる必要はないのですね。ごく一部の、それも、今までデモにも全く言ってなかったような人を何人か逮捕し、組織犯罪や組織的なデマ拡散の類に関わってるかのようにして、腰縄付けられた状態でテレビカメラに晒して、住所も氏名も職業も大々的に報道させて、何ヶ月間か牢屋にいれておけばいい。そうすれば、逮捕された人の社会生命は完全に終わりますし、そうなると、大半の普通の人達は「自分もこうされたくない」と言う事で、議論も情報共有も逃げるようになる。
 政府や大企業などの都合のいい話以外は、全く出回らなくなるような世の中というのを作れますし、そういう「逮捕実績」が積み重なると、警察の公安的な部署に対する予算や人員も一気に増やされるから、そうなれば、街の立ち話や気に入らない相手に対するウソの密告で、色々言いがかりを付けてだれでも逮捕できてしまう体制が出来てしまうことになる。

児童ポルノ・買春禁止法」「淫行条例」での悪循環が、あらゆる問題に広がる悪夢。

 これは別に妄言でもなく、すでに「児童ポルノ・買春禁止法」や「淫行」に関する法律・条例違反で行われていることです。児ポ法に至っては、大半の検挙者が、自分の裸などの写真を撮ったり送ったり・公開したことによる「作成罪」になっていて、つまりは、18未満の若い人たちが主にこの犯罪で逮捕などされていて、それを使い「児童ポルノ被害が急増してる」と警察が大声で言って、関連する予算を多く取り付けたり民間に対して検閲を強めるように要求がされていると言う、一種の悪循環が成立しちゃってるんですよね。

 そういう事が、他の多くのことでも起こってしまうというのが、共謀罪なんですよね。
 それこそ、津波が来たとか原発が爆発したとか、そこまで行かなくても、自分の測ってる放射能の数値が急激に上がったとか、そういう話でも、起こってしまう。

 今回は、恐怖を煽るような話をしてしまいましたが、しかし、今必要なのは、「野党四党に対して、徹底的に国会を止めて、法律の成立を押さえ込んで欲しい」と相手の仕事の邪魔にならない形や、相手の手伝いのついでに、要望を届けていくこととか、街角で意思表示をささやかにでもやっていき、幾らかでも議論を拡げていくことだと思うのです。