立憲民主党が古臭い「人件費削減」政策を掲げたことが批判され直された事から、考えてみる。

 非常に間隔が空いてしまいました。前回書いたように、年末年始A型インフルエンザで苦しみ、今までにないような厳しい状況で殆どの用事や行事をキャンセルし、先週半ばとなってました。今年のインフルエンザ、A型は症状がいつもよりも激しい感じがしますし(足の太ももがが激しい筋肉痛になり苦しむなんてこと初めてでした。)、それ以上に、インフルエンザだと自覚しにくいB型が非常にはやってるようです。皆さん、予防と自衛と、後は、かかってしまった時に病院に行って仕事や学校を休んで療養する踏ん切りをつけるのを、お忘れなく。

 さて、立憲民主党が政策を発表したのですが、その中で「公務員の人件費を削減する」と言う文言が入ってた(後に批判が殺到したことで撤回された)事が、話題になりました。
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 このような「政策」というものは、旧民主党民進党では「当たり前」に出されていた話で、それに対して人々が強く批判するというのも、殆どなかった事なので、ある意味感覚が麻痺していて出してしまったのだと思います。

公務員人件費の引き下げと非正規雇用の促進が、地域崩壊まで繋がってしまってる、負の連鎖。

 そもそも、この手の話は、1990年代から繰り返し言われてきた訳ですよ。公務員は給料が高すぎるし怠けてる、国の財政が苦しいのだから人件費を削減しろ。と言う声が、「識者」を中心に、マスコミで繰り返され、労働組合はそれを批判したとは言え、当時は「連合」の最盛期で、国とか財界とか「空気」に対して労働者や労働組合が逆らうことが非常にいけないことだ、罪だ。と言う風潮がすごかったので、結局、どんどんと押し切られ、新しく入った人から給料が下げられ(これは、すでに入った人の給料を下手に下げると、公務員の人事に関する法律や、公務員以外だと労働基準法に違反になって裁判起こされて負けるからですが)、それだけではなく、人手不足になっても、それで雇う人達を正規職員としてではなく、非正規職員として雇い、簡単にクビを切れるし安い月給しか払わなくても違法にならないように、国も自治体も競争するようにやってきたんですよね。

 その影響は、民間企業にもどんどん来ていて、多くの人がご存知のように、民間企業の多くは給料を下げるだけではなく、派遣会社が送り込んでくる人を正社員と入れ替えたり、正社員をその手の会社に出向させて雇うことによって、安月給でもいい加減な理由でクビを切っても責任を取らずに済むような形にどんどんと変えていってしまった訳です。

 そして、公務員の場合には影響はそこでとどまらず、警察が飲酒運転や酒気帯び運転を法外に厳罰化したことの影響もあって、お役所の周辺で営業してギリギリ倒産せずに済んでいた飲食店が、まずバタバタと倒れました。そして、官民競って雇用を不安定化し、福祉も切り下げた事によって、地元の商店や百貨店で物を買う人が激減していきました。これには、大店法の改悪で、イオンやセブンアンドアイのような大規模スーパーが地方に進出し、客を根こそぎ奪って地元商店を壊滅させた後に、採算性が悪いという理由で撤退し、買い物したくてもできない地域を作り上げた問題も伴っていますが。
 今や、地方の老舗の・それも、江戸時代の前半からやってきたような商店や菓子店、百貨店が、どんどんと倒産したり閉店したりする事態に陥ってる訳ですよ。
ひょうご経済+|経済|老舗百貨店ヤマトヤシキ 来年2月末に姫路店閉店

国の計画倒産に至っても未だ、バブル崩壊の歪んだ価値観に引きずられてる、マスコミと政党。

 アベノミクスという、私からすればごまかしとインチキを重ねて、偉い人たちが一方的に国の富を奪ってどこかに(多分タックスヘイブンに)逃してしまうという国の計画倒産のような事で、給料がろくに上がらないし福祉給付は下げられてるのに、税金や年金や国保で取られる金額が爆上げされ、しかも物価まで上がってくるという、「約束されていた大不況」が原因の一つですが、それだけであるなら、戦争やインフレや大恐慌を生き延びてきた老舗の商店がバタバタ倒れると言う状況にはならないと思うんですよ。それ以外にも問題があって、それの一つに、「人件費の切り下げと雇用の不安定化で内需が壊滅した」と言う、90年代から25年以上続いてる状況が、あると思うのです。
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 今も、マスコミはそのような世の中の変化をわかってないのか、「公務員は給料下げろ」「企業が人件費を下げたりコスト削減のために派遣を使うのは当然だ」と言う論調が多くを占めています。日本で暮らす多くの人たちは、そのようないい加減でほんのひとにぎりの人しか得をしない話にのっけられたことで苦しんでるし、地域社会がめちゃくちゃになってきてるのに。です。

 最初の話に出した、立憲民主党の「政策」にも、その事が反映されてるんだと思うんですよ。「ボトムアップの政治」を目指しては見たものの、今までの民進党や民主党が、ボトムアップの政治とかけ離れた人たちによって動かされたり、ボトムアップの動きをそうでない人達が足を引っ張って潰し、場合によっては内閣が潰れたり党が分裂すらしてきたと言う事が、やっぱり強く影響してて臆病になってもいるでしょうし、そもそも、ボトムアップを目指しても今までのような「選挙に勝てるスタイル」では、末端にいて、組織になってないけど困ってる人達や「正しさ」「正義」によってより来る苦しめられてる当事者たちという物にたいして、きちんと向き合ったり落ち着いて考える時間が取れないようになってしまってる。

すでに、世論の半分くらいは人件費や給料を上げろと言い出してる。

 今は、幸いなことに、そのような大半の人が幸せになれない・なることができなかったような、人件費の切り下げのような政策や「常識」に対して、ノーを言う人が非常に増え、その人たちが組織的にではなく、あくまで個人として文句を言う事が沢山重ねられることで、立憲民主党の政策を見直させることができました。
 私から見れば、この事は、この数十年間殆ど出来てなかった事ではありますので、ある意味、日本社会の進歩なんだろうとは、思います。

 このような声を人々が重ね、ネットなどを使い議論し、色々な形の「世論」、一つにまとまらないと言うか何本かにまとまりはするけど統一されてるかと言えばそうも言いにくいような「世論」を作ることで、色々な所に影響を及ぼし、その事で、今まで労働組合・特に個人加盟の労働組合やユニオンが頑張っても出来なかったような「マスコミの軌道修正」「空気の軌道修正」が出来る可能性が出てきたと思うんですよね。

 そして、その事で、金持ちとか大企業とか国際的な投資企業の側に立たないつもりでいる人たちや政党に、「人件費を上げるべきだ」「人件費削減は限界を超えてしまってる」「給料を上げろ。時給1500円でも厳しいぞ」「非正規雇用をやめさせろ」などの、色々な問題や意見があることを示し、そして、議論の中身やなんやをなるべく見せていくことで、向こうに考えさせて、お互いに言い合える環境を作っていい方向性に社会全体も政治も向けていく。と言う流れの入り口を、私達一人ひとりが意識的に作っていくべき時期に来てるんだと、思うのですね・。