小室哲哉への「文春砲」とうなぎ絶滅、そして日韓合意のゴタゴタから考えてみる。

 ここ最近・特にこの一年、取り上げられなくてもどうでもいい話が悪いこととして取り上げられる一方で、これはひどい。とか、これは中の人の権力とか含めてまずいだろう。と言う話は無視していくようなメディアや人々が、余りに大きな顔をするのが、目立ってるように思うんですよ。

 例えば、小室哲哉氏の引退問題を見ていて思うのですが、「不倫」であるからいくらでも叩いていいんだ。的な感じの世の中の空気に乗っかる形で、個人個人の状況とか事情も無視して、ちょっとした「過ち」まで何がなんでも責任を取らせないと気が済まない。と言う人達ののさばりぶりには、正直な所うんざりしますし、小室氏が長年奥さんの介護を続けていく中で、看護師の方との関係を作っていく中で起こった「過ち」なのであるから、例えば山口敬之氏が詩織氏に対してやったような非常にあくどい真似に関して殆ど不問にしている週刊文春が、とりわけこの問題を大きく取り上げて騒いでるのに、違和感を感じるんですよね。
小室哲哉の会見全文1 不倫騒動受けて引退 - ログミー

「日韓合意破棄」にけしからんという前に、知っておいたほうがいいこと。

 さて、「日韓合意」と言うのが、あります。長年日本と韓国や北朝鮮の間で揉めてきた、第二次世界大戦当時の戦争犯罪問題の中でも、慰安婦問題に関して、「不可逆的な解決」とするかわりに、日本が韓国に10億円を渡す。と言う取り決めを、韓国の前の政権の朴槿恵政権の末期に、日本の政府と取り決めたのですが、この中身が非公開とされた訳です。
www.huffingtonpost.jp
www.asahi.com

 とにかく、この「不可逆的な解決」・要は、これ以上韓国は騒ぐな。日本は責任を取らない。と言う部分だけが伝えられ、その周辺の話や曖昧な中身というのは、韓国のマスコミの日本語版である程度は伝えられてはいたものの、日本のマスコミは殆どその中身をつたえないし、いくらなんでも、こんな取り決めがうまく行くわけがないじゃないか。と言う見通しすら、日本側では伝えられなかったわけですよ。

 私は、大昔・25年近く前に、ある程度慰安婦問題や中国で関東軍が行った戦時犯罪に関わってる団体のお手伝いをする機会がありました。その中で、その運動団体の人達が、自分達や自分達と繋がってる・今の挺対協につながる人達が、慰安婦の当事者たちが決めることに対して主導権を取ることばかり大事にしているのに呆れながら手伝っていて、私個人の生活上の問題で、お手伝いどころではなくなって、退いたので、その後のことも含めてある程度状況を見てきましたが、「韓国が反日」なんて単純な話で「日韓合意はうまく行かない」というのではなく、韓国の政治体制や政治システムからして、上で話を付けても、中身が国民を無視する中身だったら無意味どころが火に油を注ぐことになると言う事が、最初から明らかだった訳ですよ。

韓国の政治システムは、日本と全く違う事を考える必要性。

 韓国の大統領は、6年以上は務めることが出来ないですし、二期目はないシステムです。つまり、最悪でも6年毎に、政権がまるまる変わってしまう。そして、大統領が変わると、前の大統領の悪事が徹底的にでてきて、刑務所に入れられたり自殺するのが、当たり前に起こる訳ですよ。この辺り、日本のように長年官僚が殆ど仕切っていて、政権交代しても官僚とマスコミと保守派の人達が、事実を捏造してまで足を引っ張って潰すような「連続性を重視する」国とは、全く違うし、それは、戦後40年近くの間、軍事独裁政権に苦しめられているのを、人々が自分達の手で打ち破って今の制度を作ってきた。と言う歴史があるからです。

 そして、そういう国ですから、日本のように、マスコミが政府に都合いいことを言って、ネットで偉い人たちがそれについてくと、世論の大半が政府に都合いいことしか認めなくなるという国とは、かなり違うんですよね。そういう風土の中で、挺対協などが、半分日本を敵に回すことを使って支持を集めてきたし、旧政権・朴政権や李明博政権は、挺対協や慰安婦像を海外に持ち出した人々に代表される国内外での「反日」の機運を、影にひなたに煽ることで、国民からの支持を集めようとしてきた部分が、否定できない程度には大きかったと思いますが、その反面、反日はどうでもいいから慰安婦問題をきちんと解決してほしい、慰安婦の人達に日本政府も謝罪する一方で、救済をきちんとやってほしい。と言う人たちがいて、実は、この人達が大半ではあるんですよね。
 そして、そういう人達の多くが、今の文在黄政権を支持して、作り上げてたりもするんですよ。

 彼らからすれば、反日とは到底言えないんだけど、「日韓合意」と呼ばれるものに対しては、冗談ではない。となるわけですよ。だって、日本政府と韓国の保守派だけに都合良くて、慰安婦の人達を放り出してしまうようなのを、10億円と言う「はした金」で、両国政府が勝手に決めちゃった上に、どうしてそうなったかという話も、詳しい中身もよくわからないままにされた。
 こんなことは、流石に、民主主義を掲げる国同士でやる取り決めではなく、例えばアメリカと中南米の親米独裁国の独裁者が、勝手にアメリカだけが有利な条約作って国民に押し付けるのと同じようなものですからね。そして、「合意文書もない」となれば、民主主義を求めてる人たちに後押しされてる、文政権としては、認め続けるわけには行かないのですね。

超大国と独裁国の間でやったのと同じことをやってもうまく行くわけがないのだと、知らせないマスコミやネットメディア。

 さて、日本では「日韓合意破棄はけしからん」と言う人が、世論調査では85%位いるようです。
 テレビのニュースなんかを見てると、日本と韓国が決めた事を、韓国が理由もなしに一方的に破棄してきた。と言う報道ばかりが流されているから、それ自体は仕方ないのだと思います。
 韓国の旧政権と日本政府が、民主主義に反するやり方で、問題をもみ消すかのような・民主主義国家にあるまじき取り決めをして、韓国国民に押し付けたから、文政権が破棄したし、それは、韓国の政治システム考えれば、当然の流れなんだ。と言うような、そういう細かい解説というものは、殆どゼロに近い訳ですよ。
 これは、テレビに限らず、ネットメディアや「著名人」のネットでの発言なんかを見ても、殆どそうなんですよね。

うなぎについても、都合悪い話を伝えないマスコミなど。

 少し、話を変えます。
 うなぎが、たべられなくなる。と言う話が、最近騒がれていますが、日本が長年シラスウナギを養殖向けにとってきて、しかも、沢山のウナギを中国などからも輸入し・その「元種」が日本などから輸出されるシラスウナギであるということや、そのシラスウナギが絶滅の危機にあると15年以上前から言われてきて、国際機関が日本などにシラスウナギ漁の強い自粛を求めてきたのを、日本政府が無視し続けてきたから、絶滅の危機になってる訳ですよ。

 しかし、マスコミは一貫して「気候変動かも知れないしわからない」「絶滅するなら今の内に食べろ」「高くなるのが心配だ」としか言わず、このような問題が日本にあるだけでなく、毎年土用の丑の日になるとスーパーやコンビニが大量に仕入れて大量のウナギを廃棄してる問題や、牛丼屋さんですら食べられるお手軽さに関しては、問題だと言わないわけですよ。
 この問題に関して救いがあるとすれば、ネットの側の少なくない人達が「日本のうなぎに対するやりかたが間違ってる」と言ってることでしょうけど。
togetter.com

表面だけ知っても問題はこじれるばかりだから、自分の目と手と足で知っていかないと、いけない。

 小室哲哉・日韓合意、うなぎ。この3つの問題をつなげるのもかなりひどい話ですが、共通してる所があって、

  • マスコミが都合いいところだけつまみ食いして伝えて、都合悪い話をカットする。
  • 都合悪い話を聞かない事になる人が大半を占めてるから、相手が悪いとか自分は悪くないという話になる。
  • したがって、問題の核心・困ってる人はより厳しい状況に置かれるし、外国との揉め事やうなぎの絶滅のような問題は、よりひどい方向に加速してしまう

 と言う、負のスパイラルというか悪循環を繰り返してしまってるのですよ。

 小室氏の問題は、彼一人に介護の責任を負わせてしまったことから来てる問題も相当ありますし、それを小室氏が不倫したのが悪い。と杓子定規に切って捨てては、小室氏に責任をより重くさせるだけだし、「不倫」なる物の中身も見ないといけないと思うのです。
 そうしないと、同じように重病の家族を介護してる人達にかかるプレッシャーが増すばかりになりかねない。

 日韓合意の問題は、「元々上手く行くわけがない中身の取り決めを」「時の権力者が国民を完全に無視して勝手に決めた」と言う、最初の最初でダメだったのをマスコミが完全に無視して伝えないから、韓国側の反発とか合意破棄がなんでそうなってるのかわからずに、「韓国けしからん」と言う世論になってる。

 うなぎの話も、問題の核心部分をぼやかしたり伝えようとせず、外国から長年日本が批判されるような事を改めなかった結果起こってしまったことなんだ。と言う話を伝えないから「高くなる前に食べなきゃ」と言う感じになってる。

 こういう、社会の抱える問題とか、上の方の人達がむちゃくちゃやってる結果起こってくる問題というのを、私達はきちんと見ていく必要があって、なぜなら、その手の問題で苦しむのは、上の人達ではなく、「下」の私達だからなんですよね。
 そういう事が許されてしまう状況が、戦後70年超えたにもかかわらず長年続いてきて、どうも、ここ最近に至ってはより酷くもなっている。
 そこを変えるには、空気にはまらず・空気を作らず、偉い人やマスコミの言う事を鵜呑みにせずに自分で調べたりして、広い範囲の議論を重ねていく中で、きちんと世論とかを作っていく必要があると、私は思うのですね。