「SSSS.GRIDMAN抱き枕事件」と「韓国徴用工訴訟」日本敗訴から見る、落とし所の重要性。

 寒くなってきましたね。私は相変わらず調子がよろしく、何度か腸がよろしくなくて寝込んだりしてたのですが、時折飲んでるジャルジーラマサラをふと思い立って飲んだら、腸の調子が良くなって、気力も戻ってきました。
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※インド関係の食材を扱ってる某店の方曰く「上級者向けすぎて不評の嵐で売れないのでウチでは扱うのを止めた」と言ういわくつきのもののようで。
 みなさんも、本当に健康には気をつけていきましょう。特に、原子力災害がなかったことにされようとしてて、色々な病気で突然亡くなる人もバタバタ出つつありますし。

「SSSS.GRIDMAN」キャラクター抱き枕がきっかけとなり、今まで積もりに積もった怒りが大爆発。

 さて、この一週間、色々と社会的に揉め事があった訳ですよ。昔やっていた「電光超人グリッドマン」と言う特撮番組がアニメ化されたのだけど、その準主人公の二人の女性キャラクターが、抱き枕カバーの絵柄として売られることを知った、自称フェミニストの人が、制作してるアニメ会社や原作の円谷プロなどに対して、販売を止めるように抗議しよう。と呼びかけて、それに対して抗議をしようとする人達が現れるか現れないかの時点で、「また同じような事をやるのか」と多くの人が怒り出して、動き自体に抗議を始め、その中で呼びかけた人の身元を洗うことに成功した人が出て、彼女が某放送局のディレクターで、今は管理職であるらしいという事が流布された訳です。
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 そして、それが本当かウソなのかという議論が同時に起こりだしたのを見てか、抗議を呼びかけた方はアカウントを消したり、復活させたかと思えば「代理人だが彼女は亡くなった」と書き込まれて、それが更に怒りを呼び起こして批判が吹き荒れる中、彼女に立場的に近い、フェミニズム運動系の人達や一部の左派・リベラルを自称する人達が「#オタクもどきを許さない」などのタグで、それまで隠してたはずの自分たちのオタク属性を使って「お前ら(件の呼びかけの人達やフェミニズム運動がやってきたことに批判を浴びせてる)はエセオタクだ」って言い出して、それで批判してた人達を押しつぶそうとしたものだから、更に批判がヒートアップして、「今まで自重してきたが、ここまできたら、全面戦争しかない」って論調が一気に出始めてしまった訳です。
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 そして、件の亡くなったことにしていたはずの方が、アカウントを取り直して、謝罪(といっていいのかどうかわからないけど)と釈明を始めたものの、まだまだ批判が続くし件の彼女は逆ギレしそうでもあって、これを書いてる時点では全面戦争になりかねないような危うい状態が続いてるという訳ですよ。

 これは、まぁ、今までの「ネット抗争」のありがちな状態として片付けるのはどうかと思ってて、元々の背景として、
フェミニズム運動側が男性のオタクを敵視して、社会悪と決めつけるかのような運動や言説を長年続けてた。
・この運動の中で、主に男性オタク向けの表現というものに対して、ジェンダー論や道徳的な観点からの法規制が続いてきてて、その運用を決める場に、フェミニズム運動の人達が入り込んだりなど火種が三十年間近くくすぶってた。
・この数年、「キモオタ○ね」に代表されるような、暴言と言っていいような言葉がフェミニズム運動だけでなくフェミニズムに同調する人達からしきりに浴びせられて、それに反論する人が増えていくという構図が広がってた。
・そして、具体的なキャラクターに対して「差別的」「性暴力を助長する」などの、当事者から見たらあまりにとんでもないデタラメと言っていいような非難がされるだけでなく、署名運動やロビー活動・マスコミへのアピールを通じてキャラクターや表現活動を「葬り去る」事を求めるような運動を、フェミニズムを掲げる人達が中心になって繰り返された。
・それと同時に、韓国から男性を徹底的に憎む事や道徳の強制のために犯罪行為に手を染めることを厭わない「フェミニズム」が日本と韓国の交流の中から日本に輸入され、男性に対するヘイトスピーチや、企業などに対するネット右翼並の暴力的な「抗議」の流れというのが出来始めてた。

 と言うのがあって、最近も、少女向けのアニメの抱き枕カバーに対して、韓国でフェミニズム運動側が抗議して販売中止に追い込み、日本でもそれに続けとばかりにプリキュアなどの抱き枕カバー(これ、男性が使うというよりプリキュア好きな子供たちが使うのが大半のようですね)が販売中止になるかどうかの瀬戸際に追い込まれたりしてた訳ですよ。
そして、前々回に書いたような「キズナアイ」を巡る、あまりに的外れで自分勝手なフェミニストたちの「抗議」や社会学者達のあまりに学術とかけ離れた物事に対する姿勢・仕事に対する姿勢が非常に広い範囲の人達から批判を浴びるという事態になって、今ままで「キモオタ」などとフェミニズム運動家や同調する人々から非難されて・社会悪で差別者だと言いがかりを受けてた人達…大半は男性だけどそれだけではなく女性もかなりいる…が、ギリギリのところで批判はするけど具体的な行動・要は相手の素性を暴いて潰すとか、行政などでの活動に対して攻撃をするとかという「実力行動」については踏みとどまってる。と言う危うい状況になってた訳です。

 そこに、今回の「グリッドマンのキャラ抱き枕」を発端にした、今も続いてる揉め事が噴出してきた訳で、最早、ここまで耐えたし耐えても根絶やしにされるだけなんだから、我慢するのやめよう。って空気が、今まで「キモオタ」などと叩かれてきた人々に一気に広がっちゃった訳です。

 フェミニズム運動家の中にも、「オタク」が少なからずいて、大体は「やおい」であったり「腐女子」であったりと言われるような人達であると思いますが、この人達は、90年代頭の「有害コミック問題」のときから「男性向け性表現は性暴力」「自分たちの好む表現はそれとは無関係」と冷淡な態度を露骨に示したり、表現規制をもっとやれ。と活動する側に立ってたりしてた訳です。この人達の幾らかは、後で過ちを認めて表現規制反対に向かいましたが、大多数は態度をはっきりさせないどころか、「自分たちが好きなものはポルノではない」「男性が好きなものやそれに基づいた萌えなどの表現は性差別で性暴力だ」「向こう側はどんどん規制されて根絶やしにされるべきだが、自分たちの好きなものが規制されるのは理解ができないし弾圧だ」って態度をどんどん示していった訳です。特に、今年に入って。
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根強い叩き合いの末に、全面戦争回避の意思が出てきたことを、見逃してはならない。

 この事が、尚更深刻な対立というか怒りの火をともし続ける油を、「叩かれてきた側」に注いできたのですが、不幸というかなんと言うか、その事に気がついてる「フェミニスト」「左派・リベラル」の人達が、殆ど表に出てこないで、出てくる人達と言えば、何を焦ってるのか何を恐れてるのか、「オタクは差別者」「キモオタはいなくなれ」と言う合唱を、自ら進んでやらないと行けないかのような強迫的な感じで、オタクなどを必死に叩くようになってきた訳ですから、叩かれてる側の怒りはどんどん増幅していった。
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 それが、破局を迎えるかどうかの瀬戸際で、件の「死んだことにしてた」方が名乗り出て、釈明し、一定程度に過ぎないとは言え謝罪したというのは、怒ってる人たちに対して特に言いたいのですが、非常に大事だと思うのです。

 全面戦争となれば、人数でも執念深さでも圧倒してる私達「オタク」が勝ってしまうでしょうが、その事で、今まで叩いて来た側はより態度を頑なにするだけでなく、今まで表現規制問題や青少年問題でつながってきた警察やカルト宗教・自民党などと本格的につながり、韓国やカナダ並みの物凄いデタラメで憲法違反の「根絶やし的」な表現規制を進めようとしてくるでしょうね。
 全面戦争の一歩手前で踏みとどまり、叩いてきた相手側に自分たちの何が問題なのか認識して貰い、内側で議論をどんどんやってもらい、変わってもらう・今まで変わることをさまたげてきたような人々を、きちんと切り離してもらう事も含めて、変わってもらう「ゆとり」のようなものが、今、私達に限らず「叩かれてきた側」にとって一番大事なやるべきことじゃないかと、思うのです。

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韓国での「戦時賠償判決」で見えてきた、お互いを知ることがないが為の不幸な批判合戦。

 話を少し変えますが、日本が第二次世界大戦中に韓国から連れてきて重労働させてた人たちに対して、きちんとした賠償がされてなかった問題で、生き残った人たちが日本の新日鉄住金を相手取って起こしてた裁判で、韓国の最高裁新日鉄住金が負ける判決を出したことで、特に日本側のマスコミが「日韓合意は有効なのに政府の方針を破るのか」って論調で凝り固まって非難してる訳です。
mainichi.jp

 この経緯というのはあとにして、問題なのは、この20年ほど日本と韓国が、色々なことで対立を煽られ・煽った人達の思うがままに操られるかのようになり、節目節目で時の政権や与党や一部のグループが不利になった時に「相手国を批判する世論を煽ることで支持を戻す」と言う事が繰り返されてきた、必然的とも言える結末として、私は見てるのです。
 韓国側の運動というのは、例えば慰安婦問題をやってる挺対協にしても日本側の出してくる「アジア女性基金」などでの賠償に対して応じる人達を口汚く罵ったり受け取らないように圧力をかけたりすることを「当然の義務だ」と思える人達だけでどんどん凝り固まっていったのを、90年代だけしか私は直に見聞きしてないし、その後のことは昨年亡くなった・韓国の労働運動との付き合いも深かった母を経由して見聞きする程度だったのですが、そういう形でどんどん「とにかく相手を敵にして世間の人気を取れば運動が進む」と言う方向に行ってしまいましたし、
 その一方で日本の「戦争犯罪はなかった」事にしたい人達にしても北朝鮮拉致問題を追究する人達にしても、全く同じようなことをして「社会の権威」のような物を手に入れて、批判する人が入れば切り捨てて、要は日韓対立や日朝対立を煽ることで運動の権力とか権威とかを増していく。と言う人達で凝り固まっていったわけです。

 その事で、日本にせよ韓国にせよ、自分たちの「内側」しか見えなくなり、自分たちの主張をゴリ押しすることしかやれなくなった訳です。

自分の事情だけゴリ押しして相手の事情を無視した先にあるのは…

 そして、その事は、相手側の事情を知ろうとする空気や気持ちというものにもどんどん矛先が向くこともあったし、そもそも相手のことなんか知ったことではない。自分たちの都合を押し付けて・押し付けたのを呑めない相手側が全て悪いんだ。って空気や風潮につながってしまった訳です。
 その末に、今回の韓国側での判決や日本側が「なんでこんなことになってるのか」自分たちの国の側で起こったことすら、見えなくなるくらいの状態でどんどん感情的な対立をふかめてしまってる訳です。
https://japanese.joins.com/article/896/246896.htmljapanese.joins.com
https://japanese.joins.com/article/843/246843.htmljapanese.joins.com

 これは、悲劇だと思うんです。このような判決が出る前には、日本側で新日鉄住金が賠償に応じて和解しようとしてたのを、今の安倍政権に連なる人達が圧力をかけて「裁判でケリをつけろ」「絶対に勝てるから」って新日鉄住金に、自分たちの希望的観測を押し込んでいったことがあった訳です。
lite-ra.com
japan.hani.co.kr

 その事を、日本側のマスコミなどで意見を述べてる人達が知ってるなら、その事を踏まえて言うべきなんでしょうが、今は安倍政権の天下で、安倍総理達の不利益になる事をマスコミなどの人が言うのは、自分の仕事を失うことに直結してますから、そこらへんの話はなかったことにして、韓国を非難して、韓国の裁判所は非常識だ。って叩いて済ませてる訳です。

 勿論、韓国の人達は、多くの場合、新日鉄住金が国から圧力をかけられて裁判させられたのを知ってる一方で、日本の側のマスコミの事情とかは中途半端にしか知らないわけですから、もう、日本側だけが悪いという(まぁ、この問題では、裁判に至った経緯も含めて日本側がどう考えても悪いのですが)、バッシングの風潮に同調せざるを得なくなってるし、その事は、多分、他の問題での深刻な対立の引き金を引くことになるでしょうね。

「おとしどころ」の大事さを、改めて考えよう。

 この2つのことに共通してるのは、「自分たちの事情や”正義”をゴリ押しする人たちによって、物事の解決や前向きな方向への進歩が潰されて、その事で利益を得る人たちに振り回され続けることになり、取り返しのつかない事になってしまう」ってことじゃないかなと思います。

 落とし所を見極めて、一旦足を止めて場合によっては一歩引いて相手の改善をうながし・多少だけ気長に待って、その上でどうすればよりよいかお互いに話し合える状況を作ろうという事ができなくなった末には、もう、お互いに全面戦争して潰し合うしかないわけです。

 そこを、どの問題であれ、私達の側から変えてくしかないんじゃないかな。と思うんです。
対立してる相手の側にそれを求めても、なかなか応じることはないでしょう。だって、向こうには向こうの正義があって、正義を持ってるがために、簡単には引けないわけですから。

 そこを、こちらが一歩押せば相手を滅ぼせる状態でも立ち止まって、揉めてきた物事自体が少しでもマシな形で前に進むようにやっていき、向こう側の良心が残ってる人たちに働きかけて動いて貰い、憎しみや正義に眼が曇って相手を潰せば解決すると考えることしかできない人達から「世代交代」してもらうしか解決できないことって、結構たくさんあるように、思うのです。

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