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移民問題は「リベラル」も排外主義と同じ穴の狢…上野千鶴子インタビューについて(1)…

別のことにかまけていたら、二週間も間が空いてしまいました。
女性学の学者さんのこのような発言が、物議をかもしています。


http://chuplus.jp/paper/article/detail.php?comment_id=435172&comment_sub_id=0&category_id=562

◆平等に貧しくなろう 社会学者・東京大名誉教授 上野千鶴子さん

 日本は今、転機だと思います。最大の要因は人口構造の変化です。安倍(晋三)さんは人口一億人規模の維持、希望出生率一・八の実現を言いますが、社会学的にみるとあらゆるエビデンス(証拠)がそれは不可能と告げています。

 人口を維持する方法は二つあります。一つは自然増で、もう一つは社会増。自然増はもう見込めません。泣いてもわめいても子どもは増えません。人口を維持するには社会増しかない、つまり移民の受け入れです。

 日本はこの先どうするのか。移民を入れて活力ある社会をつくる一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にするのか、難民を含めて外国人に門戸を閉ざし、このままゆっくり衰退していくのか。どちらかを選ぶ分岐点に立たされています。

 移民政策について言うと、私は客観的に無理、主観的にはやめた方がいいと思っています。

客観的には、日本は労働開国にかじを切ろうとしたさなかに世界的な排外主義の波にぶつかってしまった。大量の移民の受け入れなど不可能です。

 主観的な観測としては、移民は日本にとってツケが大き過ぎる。トランプ米大統領は「アメリカ・ファースト」と言いましたが、日本は「ニッポン・オンリー」の国。単一民族神話が信じられてきた。日本人は多文化共生に耐えられないでしょう。

 だとしたら、日本は人口減少と衰退を引き受けるべきです。平和に衰退していく社会のモデルになればいい。一億人維持とか、国内総生産(GDP)六百兆円とかの妄想は捨てて、現実に向き合う。ただ、上り坂より下り坂は難しい。どう犠牲者を出さずに軟着陸するか。日本の場合、みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい。国民負担率を増やし、再分配機能を強化する。つまり社会民主主義的な方向です。ところが、日本には本当の社会民主政党がない。

 日本の希望はNPOなどの「協」セクターにあると思っています。NPOはさまざまな分野で問題解決の事業モデルをつくってきました。私は「制度を動かすのは人」が持論ですが、人材が育ってきています。

 「国のかたち」を問う憲法改正論議についても、私はあまり心配していない。国会前のデモを通じて立憲主義の理解が広がりました。日本の市民社会はそれだけの厚みを持ってきています。

 (聞き手・大森雅弥)

国が極端に外国人を差別してきた、日本という国

幾つか非常に問題のある言説で、すでに多くの批判がされてる訳ですが、私もいくつか指摘しておこうとは思います。

まず、「移民は日本にとってツケが大きすぎる」と言う話ですが、私が思うに、すでに多くの「外国人」が日本に来ていて、今は日本が経済的に衰退傾向なので、今後増えるかどうかはわからないにせよ、共存するより無い状況なのは避けようがないと私は見ていて、その上でどうすべきか。と言う話になるならばまだしも、移民を受け入れる受け入れないで議論が成立してしまうという問題設定自体が、余りに古臭い話ではないかと思うのです。
そして、日本の問題というのは、外国から来た人たちに対して、入国行政や警察行政が、余りに冷たく・偏見に満ちたことをやってることと、後は、研修生制度に代表されるように、不当に安い給料で不当にこき使う為だけに外国人を半ば奴隷として「輸入」する制度がまかり通っていることじゃないかと思うんですよ。
普通の日本人や在日韓国・朝鮮人の眼には映らないような形で「二級市民」が制度化されていて、日本に来た外国人の少なくない人々が、既に日本に定着しているというのに、そのことにはほとんどの人たちが見てみぬふりを決め込んでる。

例えば、私の知り合いには、長年ビルマ人の人権問題に関わってる方がいるのですが、ビルマミャンマー)は軍政時代に政治弾圧が激しかっただけではなく、ロヒンギャなどの非仏教徒に対する過酷な弾圧を行っていて、民主化されても異教徒弾圧が激しいまま続いており、多くの難民が日本にも逃げて来てるんですよね。
でも、日本政府は難民申請した方に対して、殆ど難民認定を出さないで、要は、不法滞在扱いしてる訳です。

不法滞在扱いされると、些細な犯罪ですら無いような落ち度が見られただけでも、簡単に入管の収容所に送られたり、本国に強制送還されてしまう訳で、物凄く不安定な地位のままで長年過ごすことを強いられてる。

既に、奴隷を大量に「輸入」して使い捨てにしてきた、日本という国

研修生制度に至っては、制度自体が「技能研修」と言う名目になっていて、最低賃金を大幅に下回る給料で、労働基準法に違反する中身の労働をやらせてもお咎めないようになってる。経済的に貧しい外国で仲介人(ブローカー)が「家が建てられるようないい仕事がある」的なことを言って、渡航資金だ何だで借金を作らせ、研修生として日本に送り込み、粗悪なタコ部屋に押し込んで一日15時間とか働かせたり、雇い主が暴力やセクハラを日常的に行ったりする職場で、一日数千円の手取りすら危ういような形で働かせることを認めてしまうような状況が続いてきてる訳ですよ。

こんな国で、経団連自民党なんかは、移民を100万人単位で呼び込もうとか言ってる反面、移民がマトモに人扱いされてない現状に対しては殆ど変える気がないようなのですから、そんな状態で移民を入れること自体が人としてクズとしか言いようのない話ですし、移民は受け入れるべきではないと、私は思うのです。

要は、移民を受け入れるならば、事実上の二級市民に外国人を追いやってる制度をマトモにするのが先でしょう。と言う話なんですよね。

外国人を人間扱いせずに上から目線で説教しても何も変わらない。

で、上野千鶴子の件のインタビューを見ていると、こういう構造的な問題をどうにかして変えていきましょう。というのではなく、紋切り型に「外国人を受け入れないなら衰退する」と脅しに近いような事を言っている。

こんな事言ってて、人が動くもんですかね。

問題なのは、自分のいる「集団」とは違う、異質な人たちに対する嫌悪感のようなものが、この国では余りにはびこっていて、それは日本人の間でもごくごく普通に飛び交ってるわけですよ。例えば、「フェミニズム」を標榜して「左翼」を自称してる人たちですら「キモオタ死ね」「オタクはセクシストの犯罪者」などと言ってヘイトスピーチ同然の罵倒を繰り返したりとか。

そこの部分に目を向けつつ、移民が沢山入ってくるのは、もう、避けようがない。と言う現状認識をきちんともった上で、では、移民や既に日本に来てる外国人の待遇をちゃんとしましょう。と言う前向きな話には、上野氏の話…実は、この手の物言いは、「リベラル」の多くにある…は、全くなってない。

このいびつさこそ、きちんと問題なんだという考えを持つべきだと思うんですよ。

私はひねくれてるし、極端に空気を読まないので言いますが、上野氏にせよ、その周辺の人たちにせよ、日本にいる外国人・特にアジア系や中東系の外国人を「異物」として捉えてるという感じがするんですよね。色々な人たちが混在するのが社会ってやつなんだから、「異物」があってもあるがままの姿でどうにかするしか無いんだ。と言う感覚ではなく、「異物」が入ってきたけど、それを排除するのは政治的に正しくないからお情けをかけてやる。的な感じがありありと透けて見えてくる。

その上で、「自分はこんなに(外国人に対して)寛容なのに、世間の人たちはなんで寛容ではないんだ?バカじゃないか?」と言う奢った意識をちらつかせてすらいる。

 

外国人が入ってくるのは避けられないという認識を持つより無いのに…

繰り返しになりますが、外国人は既に多く日本に入っているし、日本が社会的/経済的に崩壊していく中で、しかも、日本の外国人に対する扱いの酷さが広まっている状態でどのくらい増えるかはわからないですが、どのような存在であれあるがままとして捉えるよりないのは、最早避けようがないことなんだ。と言う諦めのような物を持っていくより、今の流れはやりようがないんですよ。
外国人と隣り合わせに暮らしてる人からすれば(私もですが)、お互いの文化が違うからと言って疎遠にできるわけでもなし、かと言ってこちらが日本人だからと上から目線で何か要求するなんておこがましすぎるし軋轢の種にしかならないのだから、上手いこと距離を作ってくしかない訳ですよ。
そういう、生活に根ざした実感というものが、上野氏の言葉には全く見られないし、多分、この国の多くの「インテリ」「リベラル」にもそのような実感がないか非常に薄っぺらいものでしか無い。

この部分を、どう考えていくか。と言うのが、実は、この、崩壊し始めて崩壊が加速していく日本という国を、どのように建て直していくかという事にとって、非常に重要ではないかと考えるし、そのことに対して、私達一人一人が考えて、その上でどのようにやっていくか自分自身で振る舞いなどを決めていくしか、実は無いのだと思います。