韓国駆逐艦レーダ照射事件の迷走と毎月勤労統計ごまかし問題から、「お気持ち民族主義者」と生活保護叩きとエコー・チェンバーについて考えてみる。

 韓国の駆逐艦が日本の哨戒機にミサイルを誘導する「レーダー」(レーダーというより、照射器・イルミネータですね)の電波を向けてゴタゴタした問題、日本側が電波の内容を音声にしたもの(電子戦をやる人はこういう装置の助けを借りる)を公開して協議を打ち切った後も、韓国側が噴き上がってしまってる訳ですが、それに対して「保守」の人達は日本側を完全に信用して韓国をけなすし、「左派」「リベラル」の人達は韓国を完全に信用して日本は(統計偽装なんかも発覚してるし)信用できない。韓国の言う事が絶対に正しい。とけなしてる。

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韓国駆逐艦レーダ照射事件で、韓国側でいきり立つ「お気持ち民族主義者」たちの影。

 私見ていて、本当に厭な時代になったな。と思うんです。
 この件、昨年の最後にも書きましたけど、韓国側の駆逐艦が普通ならばやらないような・一歩間違ったら戦争に踏み込むような「ミス」をやった事がまずあって、その後韓国側がきちんと処分をしなかったのを、日本の政府が支持率回復などに利用しようとして騒ぎ出した。と言うのが根本にあると思うんですよ。
 その後出てきた日本側の映像を見ると、政府の噴き上がりぶりに反して哨戒機の中の現場の冷静さが目立ちましたけど、韓国側は日本側の動きがあると後出しジャンケン的にこうだと出して、しかもその中身が稚拙な場合も多い。
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 これ、「お気持ち民族主義者」と言う、私が最近いい出した(※1)言葉でかなりが説明できちゃうと思うんですよ。自分の気持ちとか感情とかが最優先されて、例えば社会全体のためにはどうすればいいかとか、日韓関係を良くするためにはどうすればいいか。って議論やる人を「誰々の味方だ・回し者だ」って攻撃して自分たちだけが正しい。って主張し続けた結果、感情に左右された政策や行動で国とか軍とか社会とかの大きな括りを支配しようとするようになり、その括り全体の行く道を誤らせる。誤らせた後で責任を取るかと言えばそんなことはなく、誰それが悪いと開き直って責任を外部に押し付けて、逆に自分たちの力を強めようとばかりする。
※1)語源は、「お気持ちフェミニズム」と言うTwitterで @ruriko_pilton 氏が言い出した?言葉のアレンジです。

「お気持ち民族主義者」が政治に入ると、国と社会を誤った方向に導いてしまう。

 日本側は、政治の上の方だけが「お気持ち民族主義者」や彼らによってのし上がった人達で占められて、マスコミが彼らの顔色ばかりうかがうような状態にるから、政治と言うか与党とマスコミが噴き上がってても自衛隊の方は現場に行くにつれて冷めた物言いとか態度になってるけど、韓国の場合は、「お気持ち民族主義者」が軍の内部や政府の内部にはびこりすぎていて、しかも韓国では国がマスコミの報道やネットの言論などを検閲して・反する事を言う人や記者や会社を処罰できたりするんで、彼らに反する世論や報道が許されない物だから、どんどんエスカレートしてる。

 日本も、「お気持ち民族主義者」が国の方向を誤らせた具体例というのが何度もあって、昔だと第二次世界大戦の前にあった「大陸進出して貧困者を打開しよう」というのが満州国になり・関東軍というアンタッチャブルな組織が出来て暴走したことなどが第二次大戦という「勝てるわけがない」戦争を反対する人々の口を封じて始める要因になったことだったりしますが、最近だと、「北朝鮮拉致問題」と言うのが、まさにそれだった訳ですね。
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拉致問題が進展しないのは「お気持ち民族主義者」が強くなったからではないか。

 拉致問題は、2001年の小泉元総理の訪朝で一気に進みましたが、その後、拉致家族会の一部が安倍晋三氏などと一緒になって、北朝鮮から一時帰国してた人達を戻さなかった訳です。その事で、小泉元総理の訪朝よりも更に後退してしまった訳ですが(だって、北朝鮮から見たら約束を守らない日本と真面目に交渉できますかね)、その時に拉致家族会がマスコミに一気に出てきて、色々と極端なヘイトスピーチ的なことをいい続けて、強硬路線こそ正しい・北朝鮮には制裁し続けろ。って言う一方で、マスコミに対しても批判を許さない・日本にいる北朝鮮系の人達が暴力事件にあったのを「そういうのはよくない」って言う番組や人までをも「北朝鮮の手先だ拉致被害者の敵だ」って攻撃し続け、自分たちは国や自治体のいろんな政策や催し物に出ることで、どんどん社会的な影響力や利権を強めていったわけです。朝鮮総連北朝鮮系の会社・人々へのハラスメントと言ってもいいような、国や自治体の不公正なふるまいも、沢山正当化された。彼らと一緒に、今の総理大臣である安倍晋三氏が出世していったと言ってもいいでしょう。
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 結果、拉致問題は進んだか?今に至るまで、殆ど拉致被害者は戻ってきてません。

 日朝関係はどうなったか?安倍総理北朝鮮のミサイルの脅威を煽って支持率につなげていた昨年春までもそうでしたが、日本が北朝鮮に対してなにかやってもらうとしても聞く耳持たれないばかりか、昨年春から一気に進んだ朝鮮戦争を終わらせようという動きや核兵器をなくそうという動きに対して、日本が完全に蚊帳の外に置かれてるわけです。いま進んでるのは、「韓国・北朝鮮アメリカ・ロシア・中国」と言う五カ国協議の枠組みで、少し前までそこに「日本」も入ってたのに、今や、完全に外されてる。
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 こういう感じで、「お気持ち民族主義者」が、国や社会を歪めて滅ぼす訳ですが、韓国も同じような状況に・日本を相手にして陥ってるように思うし、それは戦争を望む勇ましい声や軍の規律を失わせての戦争に繋がりかねないな。とも思う訳です。

「毎月勤労統計」のごまかし発覚の5年前に、既に政府統計ごまかしが発覚してた。

 もう一つ。「毎月勤労者統計」と言う、厚生労働省が毎月出してる、働いてる人達の給料や働き方などをまとめた統計がある訳です。
これ、全ての会社の全ての従業員や労働者について調べて統計にしなきゃいけなかったんですが、それを一部だけ抜き取り調査にして、しかも数字をいじってもいたようで、結果、この数年については、実際の状況の何割もいい「数字」が出てて、「アベノミクスで雇用が改善された」ってマスコミや政治家たちなどが大きな声で言うときの根拠になってた訳です。
実際にはそんなよくなってなかったし、却って悪くなってたものすらあったのもわかり始めてる。
mainichi.jp
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 国が取ってる他の統計も、56個あったうちの22個がこの手のごまかしをしてた。と、昨日あたりにマスコミが報じてましたね。
mainichi.jp

生活保護の基準としての「物価」統計の改ざんが2013年に発覚してたけど…。

 これ、どうしてそうなったかと言えば色んな理由があるんですけど、今回は省きます。問題にしたいのは、こういう話が発覚したのはいまに始まったことではなくて、最低でも2013年には別の統計で発覚してたんですよ。
 生活保護という、日本で生きてる人達が最後に頼る制度があります。これを、2011年辺りから自民党の政治家さんたちが目の敵にしてきてどうにかして下げていこうとしてた訳ですが、2013年に生活保護で受ける人に渡す生活費(生活扶助)の金額を下げようとした時に、厚労省と審議会が、「物価」の基準を勝手にいじって無理やり下げて「物価下がってるから、生活扶助下げていいよね」って押し切ろうとしたのが発覚してたんです。
diamond.jp
 要は、ここで使われてた「物価」は、本来食べ物や普通に使う衣類や洗剤などがほとんどだったんですが、2013年に発覚したときには、そこからそれらをある程度抜いて、「パソコン」「音楽プレーヤー」などの、生活保護で暮らしてない人でもめったに買わないようなものを沢山入れてきた訳です。
diamond.jp
 生活保護なんてのはギリギリの金額しか出されてないものですから、そのようなものは尚更滅多に買われない訳で。
 なんでそんな事したかと言えば、当時、既に食料品や日用品が上がり始めてたけど、どうにかして「物価は下がってる」って示さないといけないから、上がってるものを多く外して、下がってるものをたくさん入れて数字をいじって、結論が正しいから生活保護のおかねを下げて構わないだろう。と押し切ろうとした訳です。
 これは、そのときはグズグズになりましたが、その後も方針が変わることはなく、結局、生活保護のおかねはどんどん下がってるわけです。
imidas.jp
 私、あの時にマスコミがきちんとこの事を問題だと言って、政治家ももっと多くの人が問題だと思って、そんなことはよくない。他にも同じようなことをやってないか。ってキャンペーンを張ってればどうなってたか。ここまで大きな問題が長く続くことなく、あの時点で終わらせられたんじゃないか・統計のごまかしで苦しめられた人達や不利益を押し付けられた人達が非常に多いであろうということを考えると、本当にこの社会はどうなってるんだろうか・声の大きな人達の方ばかりマスコミも政治家も眼が向いててその他の人達の言う事を無視したりわがままだと切り捨てた結果としてこんな事になってしまってる。と言うのを、もう少し真剣にみんなが考えてほしいなと思う訳です。

情緒・感情が「エコー・チェンバーの罠」と結びつかないように気をつけないと。

 この国のマスコミや「保守」政治家だけがそうならいいのですが、大半の人がそういう事になってる訳で。

 民主主義である以上、「情緒」「感情」が入ってくるのは仕方ないんだけど、それが一部の大きな声の人達が入ってくると、彼らの「感情」だけが大事にされて、その外側の人達の「感情」「利益」は無視されるどころか、悪い事だと扱われちゃうようになり、それでひどい目に合わされたりそれはまずいのではないか。って人達がわがままだとか敵だとかどこそこの回し者だとか叩かれて、それで結果として社会がおかしくなっても、今まで振り回してきた「声の大きな人達」は責任を取らずに逃げ出し逃げ切ってしまう。と言うのは、流石に問題であるし、そのためには、一旦、「誰かの方しか見ない・誰かは正しいけどもう片方は完全に間違ってる」ってやり方をやめて、どっちも悪いんじゃないか・どっちもいいこともあるんじゃないか・どっちもどっちの部分も相当あるんじゃないか。って見つめ直して考えていく必要があるんですよね。「誰かの側」についてると、そういう視点を持つことが相対化だとか冷笑的だと周りから言われて出来なくされて行く訳ですけど、それをいい加減はねのけて流れを作れるようにしないといけないんじゃないかな。と、私は思う訳です。
ja.wikipedia.org

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