自民党総裁選や沖縄基地問題から見る、「法律をまもること」の限界について考えてみる。

 今まで暑かったのが、急に寒くなってきました。どういう天気なんだろうか…と思いつつ、皆さん。お体おだいじに。北海道でも大地震があり、関西地方や北陸地方は物凄い台風で大変なことになってますが、皆さんどうかお気をつけて…。
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 さて、自民党の総裁選や沖縄県知事選挙が話題になってます。で、両方で共通して起こってることとして、安倍総理であったり自民党側が立てた候補であったりが、徹底的に「討論会」から逃げ回り・裏工作と言ってもいいような「票固め」に専念して、要は選挙で投票する権利がある人達が候補の言いたいこと・やりたいことや実際の人柄のようなものを見極めることが出来ないで、とにかく「上」の言うことや望むことに従うかどうか。だけで選挙が行われてしまってることなんですよ。
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選挙で討論することから逃げて違法行為すら厭わずに選挙に勝つ人々。

 これ、「民主主義の危機だ」とかしたり顔で言う気にもならないのですが、この七八年、多くの選挙でおんなじことが行われてきてる訳ですよ。私が最初に目にしたのは、確か2012年の東京都知事選のときで、その時私はささやかながら宇都宮健児氏の選対のお手伝いを少しだけしてたんですが、そこで問題と言うか話題になってたのは、「公開討論会を色んな人達がやろうとするんだけど、猪瀬氏や一部の候補が拒否し続けてて、開けない」って事だったんですよ。最終的に、今までより少ない公開討論会…私の記憶では青年会議所主宰のものしかやらなかったと思うけど、多分もう少しはやってた…で、投票となり、猪瀬氏が当選し、猪瀬氏の後押しで都営地下鉄の民営化や東京オリンピック招致をやっていった訳です。
 そこが始まりだったのかなんだったのか、2013年の衆院選でも似たような話が飛び交いましたし、猪瀬氏が降ろされた後の都知事選でもおんなじ状態でしたし、その後の衆院選参院選や各都道府県の知事選では、もはや、討論会を自公政権側の人達が拒否して青年会議所主宰のだけやるような状況が当たり前になってしまった。
 政権についてる側の人達があらを見せない為に討論とか対話とかそういうのから逃げ回り、組織票を固めて積み増すために偉い人が色んな組織を廻って裏工作よろしく「投票しなかったらどうなるかわかりますよね?」みたいな感じで半分脅すようにして行って、新潟県知事選とか沖縄の選挙では誰が誰に投票したか、投票所で見たり写真に取らせて後で見たりまでした。って噂話が飛び交う状況が出来てしまい(この手の話は、00年代の沖縄の選挙では毎回裏で言われてた話なので、それが全国に広がった感じがありますが)、その状況によって投票率が下がったりまでして政権与党側の候補が多く勝ってしまう。と言う、本当に情けない状況が全国で出来上がってしまってるっぽいんですよ。
 そして、今回の沖縄県知事選なんかだと、既に一部の新聞が玉城デニー候補の「選挙違反」をでっち上げたり(実際には数万円のミスを百万円規模の不法支出だと”印象操作”しようとしたり)、玉城候補について根拠のない話を集めたサイトが立ち上げられたりまでしてるし、自民党総裁選だと、安倍総理が勝つはずなのに、地方議員に対して脅しとも取れるような圧力を官邸や内閣府の偉い人達が各地方に行い、神戸市の市議会議員達がさすがにやってられない。と表に出てきて対立候補の石破氏の側に廻ると公に言い出した訳ですよ。
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「左派」を自称する人達が市井の人達に牙をむいたことで、状況がより混乱している。

 こういう話というのは、マスコミの側も「ささいなこと」と考えてるのか、なかなかきちんとまとまって報道されることが今まで殆どなく、流石に最近は度が過ぎるせいか多少は出始めてますが、やっぱり、そう大きくは出てこない訳ですよ。
 その事によって、当然、私達には知られるべき話は知られないし、今起こってる問題に対しても知ることが出来ないだけではなく、今の政権や社会で立場の偉い人たちというのがネットで「空気」を作るためにウソも何もフル活用して、事実にないこと・実際には起こってないことを大きな声で広めて拡散していく一方、都合の悪い話は徹底的に押さえ込むことで「えらさ」を掴んだり維持したりしてる人達ですから、私達が知るべき話が、実際のこととは正反対の話だったりまでする訳ですよ。
 そして、それが薄々うさんくさいとかウソっぽいとか思ってる人達は「どうせ何やってもムダ」と投票を諦めたり、「政権に歯向かってデモとかしてる人が気に入らない」って煽ってる(多分今の政権側のネット工作にも関わってそうな)人達に煽られて、いくらダメな政権でも、今の政権しか選択肢がないんだと思う羽目になっている。
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 そういう、私からすれば相当ひどい悪事を以て、今の政権なり原発再稼働を目指してる人達なりが社会的な影響力や政治的な力を持ち・強めてるという部分が相当あって、それに対抗する側は、最近のフェミニズム関連の人達や「しばき隊」の人達のように、やたらと普通の人たちに「ネトウヨ」「レイシスト」「差別者」などのいいがかりをつけたり、ある種の他人に危害を加えない人たちやある種の表現を差別的だと攻撃することにばかり力を入れて、その一方で今の政権とか原発とかを批判するものだから、政権批判や原発批判自体まで悪いイメージがはびこる始末なんですよね。
 そして、都知事選で細川元首相や小泉元首相や鳥越俊太郎氏を担ぎ上げて「宇都宮おろし」に奮闘した人達が、またぞろ「石破さん待望論」とか言い出してて、それが単純な「水戸黄門待望論」でしかないことを多くの人が見抜くものだから、前よりもっと「左派やリベラルには期待できない」と言う声が大きくなる始末な訳ですよ。
チラシの裏:小宮青識論争観戦記 – 江口某の不如意研究室
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沖縄の基地問題で浮き彫りになった「無法者には法を護っても仕方ない」事。

 そして、先程亡くなられた翁長沖縄県知事ではないけど、何かにつけて「法律をまもる」と言う点にこだわり続けてそれ自体が目的になってるから、法律をとことん破ってとことん歪めてでも目的を達成しようとする、今の政権やその周りにいる人達のむちゃくちゃぶりに押し切られてばかりで、結局何も出来ないままに自分達が努力した。と言うアリバイだけが積み重なって、現場で苦しんでる人達の状況が悪くなる一方なんですよね。
 私からすれば、翁長県知事のような方というのは、「保身最優先のペテン師」の部分が相当あるんじゃないか?と疑ってる部分がどうしても消せないわけですよ。彼が頑張ったのは確かにそうですが、彼は状況を余りに見誤ってた。いまの状況が安倍政権以前と変わらないと勘違いして(そもそも、安倍政権以前が法律が護られたとも思えないのですが)、法の範囲内でしか動いてなかったわけですよ。首相官邸が法をねじまげて警察を無理やり動かして辺野古や高江で基地建設に反対してる人たちに暴力を加えさせたときなんかが一番象徴的だったんですが、翁長知事の権限で(法をねじ曲げてでも)沖縄県警や県庁職員を動かして、反対派の住民と住民や反対派を攻撃してるよその警察の間に入らせることすら、彼はしなかった訳ですからね。
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 そういう状況では、「政治には何も期待できない」「自分が政治にひどい目に合わされても、政治も行政も助けてくれない」って諦めるしかなくなる人が、猛烈に出てくるし、多分それは、今の安倍総理をトップに据えて・彼を担ぎ上げてやりたい放題して国や国民のおかねを多分数百兆単位で盗み取ってる人たちのおもうつぼそのものなんですよね。
 私が見てきた「世の中」は、80年代末の「昭和バブル」の頃から、そういう光景をいろいろ目にしてはいましたが。
 それを当時の「普通の人たち」(念のために書いておきますが、ネット右翼とかではなく、本当に普通の人たち)には、全く理解が出来なかったし、言ってみたところでおかしな人だと思われることがほとんどでしたが、今や、そういう世の中を仕込んできたような人たちが表に出てきて、そういう世の中を隠さなくなってしまい、多くの人達が、どうしていいのかわからないし誰を信じていいのかわからなくなってしまってる。

自分自身を見つめ直して信じ直し・繋がり直す事の大事さ。

 そこを乗り越えないことには、私達一人一人が「人間として」生きる事ができなくなってしまうわけですが、どうすればいいかといえば、自分自体の誰の色にも染まってない部分を見直して、自分自身を信じて・周りの人達を信じて、どうにかして身の回りから変えていけないかと周りと繋がっていくというあたりからやり直すしかないのかなぁ。と思うんですよ。その中には、法律を護ることだけが本当にいいことなのか?それが却って世の中全体とまでいかなくても身の回りの状況を悪くしてしまったんじゃないか?と言う問いかけも必要だと思います。
そういう形で繋がってく流れがたくさん出来て、反発し合ったり交わり合ったりする中でしか、この社会がきちんと「人間が人間として生きられる」ようにはならないんじゃないか。と、私は思うのです。